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倭(ヤマト)しうるはし

~わが国が「倭」と呼ばれていた上古の面影を今につたえる風景や風物など・・・いにしえのヤマトをしみじみと~

古代祭祀の面影

吉野ヶ里ふるさと炎まつり2012 ~炎の行列~

吉野ヶ里ふるさと炎まつり2012 ~炎の行列~
●ヒミコ(日巫女?)による神火の点灯(2012年10月27日)


すなはち火産霊神(ほむすびのかみ) 埴山姫(はにやまひめ)を娶りて 稚産靈神(わくむすひのかみ)を生む
(日本書紀より)



昨年に続き,訪れた吉野ヶ里遺跡。年に一度の炎の祭典「ふるさと炎まつり」のクライマックスでは,ヒミコが,まつりのメイン会場に炎を灯します。昨年,あいにく見逃した,この採火式と採火行列(たいまつ行列)を目にしました。
 実は,この炎は,吉野ヶ里遺跡の北隅に鎮座する日吉(ひえ)神社で起こされた神火。火産霊神(ほむすびのかみ)の子とされる稚産靈神(わくむすひのかみ)は五穀豊穣の神。日吉神社の祭神は冒頭の火産霊神ではないけれど,冒頭の日本書紀の一節のように,古来,火は万物の創生に関わる重要なレパートリーだと信仰されてきたのでしょう。

炎まつり1日目,弥生遺跡の脇に鎮座する古社で産(む)された神火が,古代人に扮した行列の手によって吉野ヶ里遺跡の随所へと運ばれていきます。

吉野ヶ里ふるさと炎まつり2012 ~炎の行列~
実は,当日は小雨模様。昨年も雨天,聞くところではその前の年も炎まつりの日はかなりの雨だったそうで,火の祭典なのに,なぜか不思議と雨天に見舞われることが多い「吉野ヶ里ふるさと炎まつり」です。

みづはのめのかみ

記紀に記された水の女神で,古事記では弥都波能売神,日本書紀では罔象女神と表記され,神道の世界では水波能売命(みずはのめのみこと)と書かれることが多いとのことです。
 この水神は,火産霊神や埴山姫神と相前後して,イザナミ女神から産まれた子神。神話上,火と土の二神とは非常に近しい存在に位置づけられています。そして,やはり火や土とともに豊穣には欠かせない存在。


吉野ヶ里ふるさと炎まつり2012 ~炎の行列~
●小雨ぱらつく中,炎は遺跡構内を練りめぐります(2012年10月27日)


毎年10月下旬の雨模様が多い炎まつり。

この日はもしかすると,吉野ヶ里の地に今も宿る国津神が年に一度,水と火によって賦活再生するための日なのかもしれないですね。


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